(実話)未解決の誘拐殺人事件 韓国映画『あいつの声』感想・評価・レビュー

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韓国映画 あいつの声/DVD

「助けて…パパ…」

2007年の韓国映画『あいつの声』をご紹介します!

主演はカメレオン俳優と呼ばれる「監視者たち」「殺人者の記憶法」のソル・ギョング。そして誘拐犯役にはカン・ドンウォン。

1991年に実際に起きた未解決事件「イ・ヒョンホ君誘拐殺人事件」をもとに作られた本作は、実際の脅迫電話の会話を再現し、犯人の役はモンタージュのみで、演者のカン・ドンウォンの顔がはっきり映るシーンはありません。

映画の最後には、実際のモンタージュが映し出され、脅迫電話の音声が流れます。

それでは最後までお付き合いください!

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『あいつの声』のあらすじ

人気キャスターのハン・ギョンペの9歳の息子サンウが誘拐され、犯人から1億の身代金を要求する脅迫電話がかかってきます。通報すれば子供の命はないと脅されますが、妻ジソンは夫に内緒で通報し、犯人はそれに気付きます。

しかし犯人は巧妙で、警察の捜査網を潜り抜けて身代金を持ち去ってしまいます。その後も脅迫電話は続き、サンウの声が録音された音声であることが判明。犯人の唯一の手掛かりは声だけでしたが、長期化するにつれて両親は追い詰められていきます。

44日間にわたる誘拐犯との攻防戦の結末は…?

あいつの声

みどころ

人気キャスターの息子、誘拐

1991年韓国。ソウルの高層マンションに住む人気キャスターのハン・ギョンベと、若く美しい妻オ・ジソン、9歳の息子サンウ。

ある日の深夜0時、サンウが帰らず心配する両親のもとに、1本の電話が入ります。サンウが誘拐されたことを知った両親。国民的ニュースのメインキャスターである夫ギョンベは、「お金を渡せば解決する」と警察には通報せず、翌朝、休暇を取ってお金を用意します。

犯人の指示通り、金浦(キンポ)空港にお金を持っていきますが、そのまま帰れという犯人の指示には従わずに隠れて見張っていました。

その間に犯人はギョンベの家に電話し、サンウの様子を聞かされた妻ジソンが取り乱して電話は切られ、ジソンは警察に通報してしまいます。

その後ギョンベの自動車電話がなり、帰れという指示に従っていないことに怒りをあらわにします。別の場所を指定され、そこにいた男に掴みかかりますがそれは刑事で、ジソンが通報していたことを知ったギョンベ。

その後も自宅の電話とギョンベの自動車電話に連絡してくる犯人。それどころか、ギョンベや警察の様子を隠れて見ているようで、煽るようなことまで言い出します。

犯人が本当に巧妙。

唯一の手掛かりは、声

捜査に乗り出した警察は、ギョンベに恨みを持つ人物として、ギョンベの報道によって逮捕されたジェジュンを勾留。しかしジェジュンには事件当日のアリバイがあり、声紋鑑定でも一致しませんでした。

誘拐から半月が経とうとする頃、犯人からの電話でサンウの泣き声を聞いたギョンベは、サンウの生存を確信して安堵。

その後、声紋分析によって犯人像が浮かび、ジェジュンの息子ハン・インソクも容疑者として浮上しますがアリバイがありました。そこに再び犯人から電話があったため、2人の容疑は晴れました。

そして事件から25日後、声紋分析官によって電話でのサンウの声が録音された音声だということが判明。生存の可能性はなくなり、公開捜査に切り替えることを決めた警察。

それを聞いたギョンベとジソンは追い返しますが、その後犯人からの電話で聞いたサンウの声が、以前聞いたのと同じ声、同じ言葉だったことですべてを悟り…。

警察さん…。

驚愕の実話

1991年1月、当時9歳のイ・ヒョンホ君が、公園で遊んでいたのを最後に行方がわからなくなり、その日の夜に脅迫電話がかかってきました。

ヒョンホ君の父親は会社経営者で、高級住宅街に住む富裕層。犯人は公衆電話から脅迫電話をかけて身代金を要求。

警察のずさんな捜査によるミスも重なり、交渉は40日以上続き、脅迫電話は約60回。その後、ヒョンホ君の遺体発見という最悪の結末に。

しかも解剖の結果、誘拐直後に殺されていたこともわかりました。公開捜査に切り替えられるも、犯人は捕まらないまま2006年に時効を迎えました。

「イ・ヒョンホ君誘拐殺人事件」は「韓国三大未解決事件」のひとつとなっています。

※「韓国三大未解決事件」とは、「華城連続殺人事件」、「イ・ヒョンホ君誘拐殺人事件」、「カエル少年事件」のこと。

以前ご紹介したパク・シフ主演の「殺人の告白」は「華城連続殺人事件」をモチーフにしています。日本では藤原竜也主演で「22年目の告白ー私が殺人犯ですー」としてリメイクされました。

また、本作の最後に流れる実際の犯人の肉声をもとに作られたのが、「殺人の疑惑」です。

残念なところ

未解決事件の映画化なので、何かが解決するわけではないです。映画というよりドキュメンタリーに近く、モヤッとしたまま終わります。

ただ、実際の犯人の肉声が最後に流れ、事件の悲惨さは伝わり、公訴時効を迎えた今でも風化させないという強い意志が表れています。

韓国映画ではよくあるのですが、警察のずさんな捜査にイライラします。

 

主要人物(キャスト)

ハン・ギョンベ(ソル・ギョング)・・・ニュースキャスター。

オ・ジソン(キム・ナムジュ)・・・ギョンベの妻。

犯人(カン・ドンウォン)・・・ギョンベの息子サンウを誘拐し、脅迫電話をかけてくる。

感想・評価・レビュー

実際には誘拐直後に殺害されていたサンウ。そして心配する両親や警察をあざ笑いながら、身代金を要求する電話をかけるという非人道的行為は許せない。これが実話というから驚愕。今も犯人は何の罰も受けず、のうのうと生きていると思うとやるせない…。

ソル・ギョングの演技が演技とは思えないぐらいリアルで、ドキュメンタリーを見ているようでした。

実際の犯人もこの作品を知っているのでしょうか?もし見たとしたら、何を思うのでしょうか?時効を迎えた今でも再捜査が行われているようで、1日でも早く事件が解決することを祈ります。

実際に起きた未解決の「イ・ヒョンホ君誘拐殺人事件」を扱った『あいつの声』はオススメ度「★★★★」

次の作品をお探しの方は、実際の犯人の肉声をもとに作られた「殺人の疑惑」へ!

最後までお付き合いいただきありがとうございました!

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