「ブルー・マインド」身体は変態する。成長と共に。【感想・評価・レビュー】

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映画 ブルー・マインド/DVD

少女は落ちていく。不安と恐怖に蝕まれながら。

今回観てきた作品は、女性が成長する際に感じる不安や恐怖を、身体の変化で表現した新しいタイプのスイスのホラー作品「ブルー・マインド」を観てきました。

少女が大人になっていく繊細な時期を、ダークファンタジー風に表現されていて、親子の関係や思春期の女の子の心情を考えさせられる作品です。

心に抱えている不安感・孤独感・恐怖感から自暴自棄になり、不良行為に落ちていく描写もあるので、不快感に感じてしまうかもしれません。

しかし思春期の少女の心の動きを、主演のルナ・ヴェドラーさんがとても丁寧に表現してくれています。

思春期に悪い遊びを経験した方、またはその年頃の家族がいる方に観ていただきたい作品です。

身体の一部が異形に変化していきますが、ホラー要素はほとんどないので、怖さを求めている方は期待外れなのでご注意を!

それでは揺れ動く少女の心を描いた作品「ブルー・マインド」の面白さを、感想と共にレビューしていきますのでお付き合いください。

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簡単なあらすじ紹介!

両親の仕事の都合で新しい街へと引っ越してきた15歳の少女・ミア。学校も変わり、親の都合に振り回されることに苛立ちを感じていた。

理解者とは言えない両親。友人すらいない新しい環境。そして少しずつ大人へと変化していく身体に不安と恐怖を感じている。

自分の居場所を求め、クラスで目立つ存在のジアンナたちと仲良くなっていく。そして不安や憂鬱な気持ちを振り払うように仲間たちと悪い遊びにのめり込んでいってしまった。

そんな中、ミアは自身の身体の決定的な変化を感じてしまう。それは成長というには不気味で不自然なものだった・・・。

映画『ブルー・マインド』予告

今作の見どころ紹介!

思春期の少女が抱く不安や恐怖

主人公のミアは子供から大人へと変化していく重要な時期を迎えています。両親の都合で新しい街に引っ越し、相談できる友人もいないミアは1人で不安を抱えていました。

唯一の頼りである家族は共働きで、相談できるような理解者ではありません。

そしてミアは初潮を迎え、大人へと変化し始めた身体には、もう一つの異様な変化も同時に起きていきます。

この女性特有の成長と、環境の変化に心が追い付いていないミアは、言いようのない不安に苦しんでいるように映ります。

そんな不安を埋めるように、スクールカースト上位のジアンナたちと悪さや性的な事に夢中になっていきました。

多くの女性なら共感できる身体の変化による不安、自分の居場所を見つけられない恐怖、その繊細な時期をダークファンタジーのような表現で観せてくれます。

悪い遊びと初潮をきっかけに始まる身体の変化、大人に変わっていく少女の心の動きを観ていただきたい。

初潮と共に異様に変化していく身体

理解者とは言えない両親との生活に加え、転校で自分の居場所を見つけられない不安で大きなストレス抱えているミア。さらに初潮という体に大きな変化を伴う成長と共に、体の一部が変異していきます。

初めは足の指が繋がりはじめ、家で飼っている魚や授業で解剖後の魚を食べるなど、自分では抑えきれない衝動に恐怖を感じていました。

その変化は日に日に増していきます。足は痣のようなものが出来始め、黒く変色して全体を覆っていきます。

ある夜の海辺で行われたパーティーで、海に消えたジアンナを助けようと飛び込んだミアは、身体の更なる変化に気付いてしまいました。

横腹にエラのようなものがあるのを見つけ、その異様な変化は完成形へと近づいていきます。

成長というにはあまりにも恐ろしい変化をあなたの目で確かめてください。

そしてミアが最後に求めたのは・・・。

真面目過ぎる家庭で育ち、日々不安と恐怖に苛まれ続けているミアは、心の拠り所を求めて素行の悪い連中と一緒にいる時間が増えていきます。

居場所を求めて近づいた親友のジアンナも父親しかいない家庭環境で育ち、不良行為を繰り返していました。

自分の居場所を見つけるため、言いようのない不安から逃れるため、タバコ・酒に手を出し、ドラッグや性行為で不安や恐怖から逃げるようになっていきます。

こういった理由で不良行為に手を出していく姿は、作品の中だけの物語ではなく、現実世界でも起きているので無視できない内容です。

女性の方ならミアが感じている不安感や孤独感、そして反抗するように悪いことをしてしまう気持ちはわかるのではないでしょうか?

あなたが大人に成長する時、どのような気持ちだったか思い出していただきたいです。

そして異形の成長が終わって自分の世界に旅立つ時、ミアが最後に求めた者は母親の愛でした。



この作品の残念な所!

思春期の少女の成長をリアルに描きつつも、その変化を異質なものをで表現されている「ブルー・マインド」は、人によって好き嫌いがはっきりする作品だと思います。

真面目に育ってきた少女が環境と身体の変化に心が耐え切れず、道を踏み外していく姿は観ていて気持ちいいものではありません。

そんな日常と非日常が淡々と進んで行くので、誰にでもわかりやすく、楽しめる映画を観たい方にはつまらないと感じるでしょう。

しかし、同じ変化に対する不安や恐怖を感じたことのある方には、とても心に刺さる作品でもあります。

悪いと思いながらも自分の居場所を守るために行った過ち、相談できなくて一人で苦しんだことがある方はその時を思い出し、親として女の子を育てている方は1人で苦しんでいる子供の心を救える大人になっていただきたい。

「言わなくても伝わっているはず。」「何かあれば相談してくるはず。」といった考えは、この作品を観て改めていただきたい。

といった内容で、観る人によって評価が真逆になる作品なので、残念な部分としてさせていただきました。

まとめ・評価

1人の少女が変化を乗り越え、一人で旅立つ姿を繊細に表現してくれていた「ブルー・マインド」は、多くのメッセージが込められた作品でした。

ミアの身体の変化を目に見える異形の形で表現し、心の中に生まれる恐怖や不安をホラーのような変化で見せてくれるダークファンタジー要素が強い作品だと思います。

いつまでも子供だと思っていた少女も、やがて大人となり自分の人生を進んで行くときが来ます。

私たちも就職や進学などで親元を離れ、一人で暮らすようになった時、寂しさや孤独感を感じてしまう方も多いでしょう。

そんな子供から大人に変わる心の変化を、目に見える形で表現してくれている作品だと言えばわかりやすいでしょうか?

知ってるつもり、わかってるつもり、そんな絆に頼った思い込みより、「話す」という事の大切さを再認識させてくれる名作でした。

最後に個人的評価ですが、思春期の少女の心情を繊細に表現し、目に見える恐怖として観せてくれる作品ですが、ミアの不安や恐怖に共感できない方は意味不明と感じる作品なので、「オススメ度★★★」で締めたいと思います。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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