(実話)盧 武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の弁護士時代 韓国映画『弁護人』感想・評価・レビュー

U-NEXT

韓国映画 弁護人/DVD

たった一人で国家に立ち向かった弁護士

2013年の韓国映画『弁護人』をご紹介します!

1981年に軍事政権下の韓国で実際に起きた冤罪事件である釜林事件を題材に、盧 武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の弁護士時代の実話を映画化した作品で、観客動員数は1,137万人を突破する大ヒット!

主演は「殺人の追憶」「グエムル-漢江の怪物-」のソン・ガンホ。最近では「パラサイト 半地下の家族」で話題になりましたね。冤罪事件に巻き込まれる青年役には、「太陽を抱く月」「王は愛する」に出演したアイドルグループZE:Aのイム・シワン、その母親役に「ファン・ジニ」のキム・ヨンエ。

それでは最後までお付き合いください!

※映画・ドラマを見るなら作品数が多いU-NEXTがオススメ!




『弁護人』のあらすじ

裁判官を辞めて弁護士になった主人公ソン・ウソク。不動産を専門に取り扱うことを決め、宣伝のために名刺を配ってまわります。その効果もあって忙しい日々を送るウソクのもとに、先輩弁護士キム・サンピルの紹介で訪ねてきたパク・ドンホを事務員として雇うことに。

金銭的に余裕ができたことで、ネズミが多い家から団地の高層階に引っ越します。ウソクには妻と1男1女の子供がいますが、7年前までは出産費用やなじみの食堂のツケも払えないほど困窮していました。司法試験に合格し、弁護士になってやっと、食堂に足を運び謝ることができました。

以降度々食堂へ行くようになったある日、ウソクは食堂の店主パク・スネから、息子ジヌを助けて欲しいと頼まれます。

映画『弁護人』予告編

みどころ

裁判官から弁護士へ

学歴社会の韓国で、高卒で地方裁判官になった主人公ソン・ウソク。嫌気がさして不動産専門の弁護士の道へ。宣伝のために地道に名刺を配り、どんどん仕事が舞い込み、釜山(プサン)で1番稼ぐ弁護士と言われるほどに。

しかし、他の弁護士たちも不動産を扱い始めて仕事が減り始め、税金専門に分野を変えようと考えます。不動産を取り扱っていた司法書士からも糾弾されてしまいます。

ある日、高校の同期を連れて食堂を訪れたウソクは、記者をしているユンテクと喧嘩になります。実情と報道は違うと言うユンテクと、学生たちは勉強が嫌だから騒いでいるだけと言うウソク。

その後、食堂の息子ジヌに、デモなんかしたら天罰が下るからしないよう忠告しますが、デモをさせた人にはどんな罰が下るかと返ってきます。2人が話しているところに、店主スネが割って入り、ウソクは怒ったスネに追い出されます。

お金は人を変えてしまいますね。でもウソクの努力は確かなものでしょう。韓国は日本よりも学歴社会ですしね。それでも「片親だから」は怒られても仕方ない。

読書会の弾圧

ひと月の間行方不明だったジヌは、実は読書会の最中、「アカ(反政府組織)」として摘発されていました。しかし保護者に認められるはずの接見が叶わず、母スネはウソクとともに拘置所へ向かいます。

特別接見室で会ったジヌは様子がおかしく、体中にアザが…。スネが激昂して暴れていると警官たちが接見室に入ってきて、ジヌを引きずって行ってしまいます。ウソクはジヌを助けるため弁護人に。

ジヌを含む9名の被告人たちが入廷し、裁判が始まろうとしたその瞬間、ウソクは立ち上がり異議を唱えます。被告人たちの手錠を外し、着席させるよう訴えます。審理が始まる前から罪人扱いしていることに怒りを覚えたのです。

検察側は”読書会を偽装した不法な会合”とし、共産主義を称揚する諜報組織を作ろうとしたと起訴事実を述べます。全被告の自筆の陳述書を読み上げ、証拠として提出。暴行と強要で書かされたその陳述書は、不利な状況で進められる裁判で証拠として採択されてしまいます。

不穏な書籍とされる本を徹底的に調べ上げ、その一部がソウル大学の推薦図書になっていると発言し、勉強したことを夜学(読書会)で教える被告人たちは褒められるべきで公権力の被害者だと訴えます。その後ウソクはジヌに、拷問された場所、拷問した人の顔や名前を聞き、閉鎖された旅館へ。

その後裁判でウソクは、被告席に座るべきはジヌたちではなく、日常的に拷問を行う警察と、事件を捏造した検察および軍事政権だと訴えます。こうしてウソクはたったひとりで国家と戦い、無罪を勝ち取ることを決意。

拷問によって得た証言は効力がありません。拷問はダメ!ゼッタイ!!

題材となった釜林(プリム)事件

1981年、韓国釜山(プサン)で、「赤色分子」(共産主義分子)を取り締まるとして大学生や社会活動家たちが拘留され、尋問されました。自白の強要や捏造があったとされています。

罪名は、有害書籍を回覧し不法集会を組織した国家保安法違反、戒厳法違反、集会および示威に関する法律違反など。

22人の被告のうち19人に1年~7年の有期懲役の判決が下されました。1999年に再審を求めた11人に国家保安法違反以外の容疑については無罪が宣告され、2012年に5人が再審請求して2014年に無罪判決が言い渡されました。

日本での学生運動は、第一次世界大戦直後の1918年から始まっています。傷害事件にも発展し、亡くなった方もいるようです。

弾圧する側にもされる側にも、信義はあったのでしょうが、穏便に進めるのは難しかったのでしょうか…。

 

残念なところ

ありません!

大統領としてではなく、弁護士時代を作品にするというイレギュラー。本当にリアル。主演のソン・ガンホも圧巻の演技で、裁判での鬼気迫る尋問シーンでは目が離せなくなりました。

その他の演者さんたちもみんな素晴らしい演技で、非の打ちどころがない。

登場人物(キャスト)

ソン・ウソク(ソン・ガンホ)・・・地方裁判官を辞めて弁護士に。

パク・ドンホ(オ・ダルス)・・・ウソクの事務所の事務員。

パク・スネ(キム・ヨンエ)・・・ウソクが司法試験の勉強中から世話になっていた食堂の店主。

パク・ジヌ(イム・シワン)・・・スネの息子。アカ(反政府組織)として摘発される。

イ・チャンジュン(リュ・スヨン)・・・大手建設会社ヘドン建設からウソクに顧問を依頼。

チャ・ドンヨン警監(クァク・ドウォン)・・・証人として出廷した公安の警官。

ユン・ソンドゥ中尉(シム・ヒソプ)・・・ジヌの拷問現場にいた軍医。拷問があったと裁判で証言。

 

感想・評価・レビュー

これが実話だから恐ろしい。冤罪で捕まり、拷問でウソの自白を強要され、報道規制され、裁判長でさえ敵。裁判って何のためにあるんでしょうか。法律とは…考えさせられる作品でした。さすがに今はこんなことはないと思いたい…。

そして韓国の大統領が、辞任後は自殺か逮捕の二択というのも闇だと思っています。

韓国第16代盧 武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の弁護士時代を描いた『弁護人』はオススメ度「★★★★★」

次の作品をお探しの方は、ソン・ガンホ主演の実話「タクシー運転手 約束は海を越えて」へ!

最後までお付き合いいただきありがとうございました!

※映画・ドラマを見るなら作品数が多いU-NEXTがオススメ!




タイトルとURLをコピーしました