(実話)光州(クァンジュ)事件現場への潜入取材『タクシー運転手 約束は海を越えて』感想・評価・レビュー

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韓国映画 タクシー運転手 約束は海を越えて/Blu-ray DVD

真実を追求するドイツ人記者を乗せたタクシー運転手

2017年の韓国映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』をご紹介します!

1980年に起きた光州事件時の実話をもとに描いた作品で、観客動員数1,200万人を突破する大ヒット!

先日ご紹介した「パラサイト 半地下の家族」、「弁護人」のソン・ガンホと、ドイツ人の記者役にドイツの俳優トーマス・クレッチマンが共演。「戦場のピアニスト」でホーゼンフェルト大尉、「ヒトラー~最後の12日間」でヘルマン・フェーゲラインを演じた方です。

2017年のモントリオールのファンタジア国際映画祭で、ソン・ガンホが主演男優賞を受賞。日本では2018年に公開され、中国では天安門事件を連想させるため未公開。

それでは最後までお付き合いください!

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『タクシー運転手 約束は海を越えて』のあらすじ

1980年5月、ソウルでタクシー運転手をしているキム・マンソプは、妻に先立たれ、11歳の娘と2人で暮らしていました。

そんなある日、高額な運賃を提示する外国人ピーターを乗せることに。光州(クァンジュ)に行きたいと言うピーターですが、実はその頃光州では民主化を求めるデモと軍隊の武装闘争が勃発。

途中検問で止められ、マンソプの機転で何とか通り抜け、光州に潜入しますが…。

2017年韓国No.1大ヒット!『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』 本予告

みどころ

韓国各地で起きていたデモ

1980年、独裁政治を行っていた朴正煕(パク・チョンヒ)大統領の暗殺後、軍部のクーデターや市民活動家の金大中(キム・デジュン)の逮捕などで、民主化を訴えるデモが多発していました。

金大中の出身地である光州(クァンジュ)市で、軍隊の鎮圧はエスカレートし、学生だけでなく市民も参加して大規模な武装闘争に。韓国政府は光州市民を「スパイに扇動された暴徒」とし、 メディアは光州で暴動が起きていると報じました。

これが後世に残る「光州事件」で、本作のもととなっています。

ドイツ人記者を乗せて

日本在住8年のドイツ人記者ピーターは、韓国で戒厳令が敷かれ、現地の知人と連絡が取れないと聞き、宣教師として韓国へ。そこで光州(クァンジュ)で検閲が行われ、外に情報が出ていないと聞き、光州に行くことを決意。

一方、マンソプはドライバーたちが集まる食堂で、「通行禁止時間までにソウルと光州(クァンジュ)を往復したら10万ウォンを支払う」と言う外国人がいると聞きます。家賃の支払いも滞っているマンソプはその話に食いつき、つたない英語を駆使しながらその外国人を乗せて光州へ。

光州に入るとピーターはカメラを回し始めます。通行止めを通過し、少し車を走らせると待機していた軍隊に止められ、マンソプはUターンしますが、ピーターは光州へ行かないなら代金を払わないと言い、とにかく光州へ向かうよう告げます。マンソプは光州への裏道へ行きますがそこでも検問が。マンソプの機転で何とか通してもらい、そこで半分の5万ウォンを要求。

光州に入ると、町は閑散として人の気配はありません。そこでトラックに止められ、乗っていた学生たちを撮り始めるピーター。英語が話せるジェシクの通訳により、ピーターが記者だと知った学生たちは2人を歓迎。

光州へ

何とか検問をかいくぐり、光州(クァンジュ)へたどり着いたマンソプとピーター。町で出会ったジェシクに案内されて全羅道(チョルラドウ)へ行くと、多くの市民たちがデモを行っていました。ピーターはビルの屋上へのぼり、町の様子を撮影し始めます。

すると銃声がなり始め、軍隊が市民に対して殴る蹴るの暴行を始めます。下へおりて間近で撮影するも、危険と判断したマンソプに連れられて3人はタクシーに戻り、何とか逃げ出します。光州のことを伝えてほしいと言うジェシクに、ピーターは全世界に伝えることを約束します。

しかしその後、私服軍人にジェシクが捕まり、ピーターにフィルムとカメラを渡すよう要求。全羅道で撮影しているところを見られていたのです。ジェシクは命がけでピーター達を逃がしますが…。

翌朝早く、ソウルへ帰ろうとするマンソプの前に、光州のタクシー運転手テスルが現れます。偽装用のナンバープレートを渡され、地元の人もあまり知らない道を教えてもらい、ピーターから預かった代金もマンソプの手に。

光州を出て車を修理する間、食堂へ行くと光州の噂を耳にします。「反政府組織による暴動」という話で、新聞には「反社会的勢力と暴徒」と書かれています。実情を目の当たりにしていたマンソプは思い悩み、光州へUターン。病院へ戻ると、ピーターとテスルがいて…。



残念なところ

作品のベースとなる「光州(クァンジュ)事件」についての背景に関して説明不足。韓国現代史上最大の悲劇と銘打たれていますが、韓国外の人には概要がわからないので、自分で調べなければいけません。

なぜデモが大きくなってしまったのか、なぜ報道規制を行ったのか。いまだに全容が明らかになっていませんが、主人公がタクシー運転手だったのでそこまで描かれなかったのかな?

でも主演のソン・ガンホは素晴らしかった。私がイメージしている韓国のおじさんにピッタリ当てはまりました。

登場人物(キャスト)

キム・マンソプ(ソン・ガンホ)・・・ソウルのタクシー運転手。妻を亡くし、11歳の娘と2人暮らし。政治には無関心だが、偶然乗せたドイツ人ピーターを光州(クァンジュ)まで送ることに。光州の実情を目の当たりにして協力することに。モデルはキム・サボクという実在したタクシー運転手。

ピーター(トーマス・クレッチマン)・・・8年間日本に在住しているドイツ人記者。光州事件の真実を追求するため、タクシーで光州へ向かう。運転手マンソプの協力で潜入は成功し、その実情を撮影、報道する。モデルは実在したドイツ公共放送連盟のユルゲン・ヒンツペーター。

ク・ジェシク(リュ・ジュンヨル)・・・マンソプとピーターが光州で出会った大学生。通訳を担当。

感想・評価・レビュー

ユルゲン・ヒンツペーターが潜入しなかったら…キム・サボクという運転手と出会わなかったら…光州市民の協力がなかったら…光州事件の真実が世に出ることはなかったかもしれません。もしかしたら今も、韓国は軍事政権下にあったかもしれません。

その後のヒンツペーターとサボクですが、再会することはありませんでした。ヒンツペーターは連絡先を聞きますが、サボクが渡したのは偽名と嘘の番号。本作の公開後、サボクの息子が存在を明らかにし、事件の4年後に他界していたことがわかりました。

まだ、亡きヒンツペーターの代わりに妻がソウルを訪問し、家族と文在寅(ムン・ジェイン)大統領と共に本作を鑑賞したそうです。

相変わらずソン・ガンホ出演作はハズレがない。最後の軍人とドライバーたちのカーチェイスもグッとくるものがありました。国は国民のためにあってほしいですね。

国が違う2人の友情に感動『タクシー運転手 約束は海を越えて』はオススメ度「★★★★★」

次の作品をお探しの方は、韓国に潜入している北朝鮮のスパイのお話「レッド・ファミリー」へ!

最後までお付き合いいただきありがとうございました!

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