息子だけが気付いた従業員の秘密
2019年の韓国のブラックコメディ・スリラー映画『パラサイト 半地下の家族』をご紹介します!
「殺人の追憶」「母なる証明」「海にかかる霧」のポン・ジュノ監督で、主演はソン・ガンホ。
第72回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルム・ドールを満場一致で受賞。第92回アカデミー賞では最多4部門を受賞し、非英語作品の作品賞受賞は史上初という快挙!
日本では2020年に公開され、アメリカでのドラマ化も決定しています。
それでは最後までお付き合いください!
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『パラサイト 半地下の家族』あらすじ
半地下のアパートに住んでいたキム一家。全員失業中で、Wi-Fi泥棒や低賃金の内職でなんとか生活していました。
そんなある日、息子ギウが友人ミニョクの紹介で、高級住宅地のパク家で女子高生の長女ダヘの家庭教師をすることに。浪人中のギウは、妹ギジョンに名門大学の入学証書を偽造してもらい、大学生ケビンとしてパク家へ。
そこで、パク夫人が息子ダソンの絵の家庭教師を探していることを知り、大学の後輩ジェシカとして妹ギジョンを紹介。
身分を偽り、家族ということを隠して就職した目的とは…?
みどころ
家族全員、他人のフリしてある一家へ就職
父ギテク、母チュンスク、息子ギウ、娘ギジョンのキム一家は、半地下のアパートに住み、ピザの箱を組み立てる内職で生活していました。
ギウが友人ミニョクの紹介で、大学生のフリをして、高級住宅地に住むパク家の長女ダヘの家庭教師をすることに。パク夫人が息子ダソンの絵の家庭教師も探していることを知ったギウは、妹ギジョンを大学の後輩ジェシカとして紹介。
その後ギジョンが、パク家の運転手の信頼を落として辞めさせるように仕向け、親戚として父ギテクを紹介。すると今度は、長く勤める家政婦ムングァンを結核だと偽証して辞めさせるように仕向け、架空の高級人材派遣会社をギジョンが演じて母チュンスクを紹介。
こうしてキム一家全員が、家族ということを隠してパク家に就職。ただひとり、パク家の息子ダソンは、4人が同じにおいをしていることに気付きますが…。
パク一家の不在、地下室の住人
パク家の息子ダソンの誕生日。パク一家はキャンプへ出かけ、家政婦として雇われた母チュンスクが留守を預かります。それを良いことに、キム一家4人はパク家で好き放題。パク家の主人の洋酒を飲み、贅沢三昧。激しい雷雨となったその夜、追い出された前家政婦のムングァンが訪ねてきます。地下に忘れ物があると言うムングァンを迎え入れ、チュンスク以外の3人は隠れて様子をうかがいます。
ムングァンの忘れ物というのは、夫グンセ。もともと建築家が住んでいて、その頃から家政婦としてこの家にいたムングァン。後から入居したパク家が地下室の存在を知らないのをいいことに、借金取りからグンセを隠すために地下室に住まわせていたのです。
自分が住む家の詳細を知らないなんてことあるんでしょうか…?住む前に告知されたりしないのかな?
崩れ始めるパラサイト計画
パク一家の不在で好き放題贅沢していたキム一家。しかし前家政婦ムングァンが、地下に夫グンセを隠して住まわせていました。現家政婦としてキム家の母チュンスクが対応し、その秘密を守ってほしいと懇願。しかし隠れて様子をうかがっていたキム家の3人の存在がバレ、家族だと気付いたムングァンが、今度は秘密を暴露すると脅します。
そんな時、パク夫人から帰宅するとの連絡が入ります。激しい雷雨でキャンプは中止になったのです。キム一家はグンセとムングァンを地下室に押し込み、手足を縛った後、贅沢三昧の証拠を片付けます。
グンセが地下室にある家の照明スイッチでモールス信号で助けを求めますが、気付いたのは幼い息子ダソン…。
一方、キム一家はパク一家が寝静まった隙に抜け出し、半地下のアパートに戻りますが…。
残念なところ
「半地下のアパート」というのが、想像がつきにくいのではないでしょうか。完全な地下ではなく、部屋の半分が地下になっていて、韓国では格差社会や貧困の象徴となっており、珍しいものではありません。
もともと、北朝鮮による大統領官邸襲撃やテロ事件が相次ぎ、防空壕として設置を義務付けられた地下室で、住宅不足によって貸与が解禁されました。日光が届かないため生活環境はあまり良くありませんが、貧困層にとっては重要な選択肢の一つになっているようです。
そうした背景がわからないので、最初は良くわからないまま話が進んでいきます。ただただキム一家が貧困なのかな…と思っていました。考察しながら見ても、韓国という国の背景を知らなければわからない点があるので少し難しく感じてしまいます。
登場人物(キャスト)
【キム一家】
・ギテク(ソン・ガンホ)・・・父。運転手。
・チュンスク(チャン・ヘジン)・・・母。家政婦。元ハンマー投げのメダリスト。
・ギウ(チェ・ウシク)・・・息子。ダヘの家庭教師。大学浪人生。
・ギジョン(パク・ソダム)・・・娘。ダソンの家庭教師。美大を目指す浪人生。
【パク一家】
・ドンイク(イ・ソンギュン)・・・主。IT企業社長。
・ヨンギョ(チョ・ヨジョン)・・・夫人。
・ダヘ(チョン・ジソ)・・・娘。高2。ギウに惹かれる。
・ダソン(チョン・ヒョンジュン)・・・息子。
【その他】
・ムングァン(イ・ジョンウン)・・・パク一家が暮らす前から引き継いで家政婦をしていた。桃アレルギー。
・グンセ(パク・ミョンフン)・・・ムングァンの夫。パク一家が来る前から4年以上、地下に住んでいた。
感想・評価・レビュー
話題になっていたので鑑賞。あまりに評判が良かったので、過大評価だったら…と心配していましたが、いい意味で裏切られました。
話が進むにつれてどんどん引き込まれ、笑いから恐怖に変わっていくところはもう何とも言えない!韓国の社会情勢が見えます。日本での貧困は、世界的に見たらまだマシかもしれません。知らないだけなのかな…。
半地下での生活経験がある美術監督は、壁に染み付いた垢や、においまでも再現したそうです。さすがに映像からにおいはわかりませんが、そんなところまでこだわって作られているのは驚き。豪邸と半地下の天と地のような差もわかりやすかったですね。
視覚以外のところまで忠実に再現された『パラサイト 半地下の家族』はオススメ度「★★★★」
次の作品をお探しの方は「死体が消えた夜」へ!
最後までお付き合いいただきありがとうございました!
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