誘拐された新生児
2020年のアメリカのテレビ映画『カミヤ・モブリー -私の母は誘拐犯-』をご紹介します!
1998年に実際に起きたアメリカの新生女児誘拐事件をもとに、フィクションを交えた作品となっています。
誘拐されたカミヤちゃんは、グロリア・ウィリアムズという女性に大事に育てられ、グロリアが誘拐の罪で逮捕されても、母と慕っていました。”育ての母”と”18年ぶりに再会した実の母”の間で葛藤する娘は…。
制作はアメリカの有料テレビ局Lifetimeで、女性にフォーカスした作品を多く放映しています。以前ご紹介した実話シリーズ「エスケーピング・マッドハウス」や「エリザベス -狂気のオカルティズム-」もオススメ!
それでは最後までお付き合いください!
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『カミヤ・モブリー -私の母は誘拐犯-』のあらすじ
2014年7月10日、サウルカロライナ州。すべてに絶望し、ボーイフレンドに何があったのか聞かれても話そうとしないアレクシス。
16年前、アレクシスの最愛の母グロリアは、恋人チャールズとの間に子供を授かりました。しかし流産してしまい、チャールズや周囲に隠して妊婦のフリをしたまま、介護施設での仕事を続けていました。
ある日、カミヤという新生児を見たグロリアは、看護師を装って近づきます。母乳があまり出ていないと不安がる母シャナラをなだめてカミヤを抱っこし、体温計が新生児室にあると言って連れ出します。15分で戻ると言った看護師が戻らず、不安になった母シャナラは、新生児室に連絡し、看護師とカミヤがいなくなったと知り…。
みどころ
母の告白
アレクシスが幼い頃、母グロリアの恋人チャールズは追い出され、ずっと2人で暮らしてきました。しかし、教会で出会ったワーノスキー(オスキー)と母が結婚し、オスキーの娘アリカと4人で暮らすことに。
しかしアレクシスが自分で稼ぎたいとアルバイトをすることになった時、グロリアは自分がしでかしたことを告白します。実の子ではなく、盗んだ子だ、と。
それを知ったオスキーはグロリアを責め、警察に自首すると言っているところでアレクシスが帰宅。グロリアを止め、一緒に身を隠して逃げると告げます。言い合いになっている2人をオスキーが止めに入り、秘密を守ることに。
働くのに必要な出生証明書、身分証明書がないことで、働きたいのに働けない…でも甘やかされてるとみんなに思われている。そんな状況でアレクシスの心は限界だったのです。
ついに娘にたどり着いた実母
母の告白を聞いたアレクシスは、インターネットで本当の家族のSNSを見て、実の母シャナラに電話しますが無言で切ります。1年後、アレクシスの携帯に「ハッピーバースデー、カミヤ」と電話が。
それから義姉アリカを警察が訪ね、義妹アレクシスについて聞かれます。そしてついにグロリアのもとにも来ることになり、アレクシスはスワーブのところへ行くことにします。
そして翌日、グロリアは逮捕され、アレクシスとスワーブのところにも警察が押し入ります。警察署でガラス超しに話すグロリアとアレクシス。人生を台無しにしたと謝る母に、アレクシスはママ大好きと答えます。
その後アレクシスはいとこの助けを借りて押しかける記者を振り切り、望みを叶えるには仕事が必要、そのために必要な社会保障カードと出生証明書を入手するために弁護士を見つけます。そして実の両親と再会します。
いまだにグロリアを母と呼び、1つの過ち以外は完ぺきな母だったと記者に話す娘を見た母シャナラは、怒りと悲しみが交錯します。母は私だと言うシャナラに、あなたを愛してママを諦めるなんてありえないと言い、離れた時間を埋めるのはなかなか難しく…。
裁判が始まっても世間の声はグロリア寄りで、シャナラが可哀想でした。流産したグロリアの気持ちもわかりますが、子を失った母の気持ちが1番わかっていたのもグロリアのはず。アレクシスの複雑な気持ちを考えると言葉になりません。
アメリカの新生女児誘拐事件
1998年7月10日、アメリカ・フロリダ州のジャクソンビルの病院で、当時16歳のシャナラ・モブリーさんがカミヤちゃんを出産。「熱があるので検査が必要」と看護師がカミヤちゃんを連れ出し、そのまま姿を消してしまいました。
連れ出したのは看護師ではなく、手術用の手袋をはめスモック姿で看護師のフリをしていたグロリア・ウィリアムズという女性だったのです。
パートナーのチャールズさんが留守中に出産したと嘘をつき、チャールズさんも18年間疑うことなくわが子として愛情をそそいで育ててきたそうです。
2016年、ついに警察がカミヤちゃんにたどり着き、DNA鑑定の結果、誘拐された新生児と一致し、親子は18年ぶりに再会を果たします。しかしカミヤ・モブリーさんが18歳を超えているので、実の両親と暮らすかどうかは本人次第…。
血縁がなく、誘拐されたと知っても母と慕う娘を見ると、どれだけ愛情を注いで育てられたのかがうかがえます。それでも実の両親からしたら「ふざけんな!」という感じでしょうね。
残念なところ
生後間もない赤ちゃんを誘拐して育てたというストーリーですが、誘拐犯であるグロリア寄りのストーリー進行で、実母であるシャナラが悪者のように見えてしまいます。
流産したり、パートナーに虐待を受けて誰にも相談できなかったり、グロリアにも悲しい背景があったのはわかりますが、人が産んだ娘を盗んで子供を育てる幸せを得ているのは、シャナラからすれば「はぁ?」でしょう。
娘にとっては良い母親でも、誘拐したグロリアを美化しているような印象を与えてしまうのが残念なところ。
実際には、カミヤ・モブリーさんは、どちらの母親とも良い関係を築こうとされているそうです。
登場人物
・グロリア・・・育ての母。流産したのを隠して新生児を誘拐。敬虔なクリスチャン。恋人チャールズに虐待を受けていた。
・チャールズ・・・グロリアの元恋人。
・カミヤ・モブリー/アレクシス・・・生まれて数時間後に誘拐された新生児。グロリアによってアレクシスと名付けられ、溺愛されて育つ。
・ワーノスキー・ウィリアムズ(オスキー)・・・教会で出会い、グロリアと結婚。
・アリカ・・・ワーノスキーの娘。アレクシスの義理の姉になる。
・スワーブ・・・アレクシスの恋人。
・シャナラ・モブリー・・・カミヤの実の母。
・クレイグ・・・カミヤの実の父。
感想・評価・レビュー
思っていたのと違い、誘拐した母グロリアと誘拐された娘アレクシスの愛情あふれるストーリーでした。血縁関係がないと知っても、ママはママと言い切るアレクシスから、本当のわが子のように大事に育ててきたんだなと。
でもでも!実の母シャナラからすればたまったもんじゃない。10か月間お腹で大事に育て、やっと産まれた娘を奪われ、人身売買や悪い環境に置かれること、最悪の状況を考えて気が気じゃなかったはず。やっと見つかった娘も誘拐犯寄りで、気が狂いそうになるほど複雑だったでしょうね。
子供の行方不明、誘拐事件は、なかなかなくならず、本作の主人公のように見つかる確率は極めて低いです。いつになったらこのような事件のニュースを見なくなる日が来るのでしょうか…。
母性とは…考えさせられる『カミヤ・モブリー -私の母は誘拐犯-』はオススメ度「★★★」
次の作品をお探しの方は、韓国の実話ベースのお話「マリオネット 私が殺された日」へ!
最後までお付き合いいただきありがとうございました!
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