(実話)誘拐された少女 映画『エリザベス -狂気のオカルティズム-』【感想・評価・レビュー】

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生存率は2%以下

2017年のアメリカ映画『エリザベス -狂気のオカルティズム-』をご紹介します!

原題は「I Am Elizabeth Smart(私はエリザベス・スマート)」。2002年に起きたエリザベス・スマート誘拐事件を題材にした実話で、被害者や加害者などはすべて実名。被害者のエリザベス本人も所々に登場し、報道では語られなかった真実を赤裸々に話します。長期化した誘拐事件の被害者の生存率は2%以下と言われる中、約9か月間にも渡る拘束生活は、いかにして終わりを迎えたのでしょうか?

制作はアメリカの有料テレビ局Lifetimeで、女性にフォーカスした作品を多く放映しています。先日ご紹介した精神病院への潜入取材を描いた「エスケーピング・マッドハウス」、誘拐犯に育てられた『カミヤ・モブリー -私の母は誘拐犯-』も同じLifetime作品でした。そちらもオススメ!

それでは最後までお付き合いください!

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【あらすじ】

2002年、アメリカ・ユタ州ソルトレイクシティ。14歳の少女エリザベスは、妹と就寝中にナイフで脅され誘拐されます。音を立てれば家族を殺すと脅され、仲間がいるとほのめかし、連れていかれたのは山中にあるテント。そこにいた女性に無理やり着替えさせられ、まだ初潮も迎えていないエリザベスは男にレイプされます。

その男女は夫婦で男は教祖。そしてエリザベスは第2夫人となることを強要され、抵抗もむなしくその日から生活を共にし、毎日レイプされることに。逃げられないように片足はワイヤーで拘束され、虐待を受け、飲酒まで強要されます。

逆らえば自分と家族の命はないと恐怖に支配されたエリザベスは、生き延びることだけを考え、2人の信頼を得るために従うことに…。

I Am Elizabeth Smart | Official Trailer | Lifetime

【みどころ】

寝ていた少女を襲ったのは…

両親が不在の夜、妹と就寝中の14歳の少女エリザベスは、ナイフで脅されて誘拐されます。森の中のテントに連れていかれ、ヘプシバと呼ばれる女性に着替えるよう言われます。インマヌエルと呼ばれる男は、必死に抵抗するエリザベスを妻にすると言ってレイプ。片足をワイヤーで繋がれ、逃げることもできないエリザベスは、偽りの宗教にのめり込む夫婦と共同生活を送ることに。

エリザベスは男に見覚えがありました。以前、母がお金を恵み、父が仕事を与えた人物…それが自分を誘拐した犯人だったのです。

それから毎日レイプは続き、従わなければ家族を殺すと脅され、第2夫人となることを強要されます。何としても家族のもとへ戻るため、2人の信頼を得るために手伝いを申し出るエリザベス。虐待と労働の監禁生活の中、エリザベスの心を支えたのは家族の思い出でした。

エリザベスは自由を得るために服従し、何としても生き延びることを決意。情報を得るために、絶え間なく話し続ける夫婦の話を集中して聞くようにします。

そのまま1か月が経ち、森での捜索は終わってしまいます。そんな時、ふと口にしてしまった親友の名前にインマヌエルが反応。インマヌエルはエリザベスの親友オリビアを第3夫人にするよう神のお告げがあったと言い、出かけてしまいますが…。

心理操作で反撃開始!

神のお告げだと、ユタ州を離れてカリフォルニア州へ拠点を移した3人。しかし次第にインマヌエルとヘプシバの夫婦仲は悪くなり、大喧嘩の末、インマヌエルは1週間戻りませんでした。水も食料もなく諦めかけていたところにインマヌエルが戻り、移動すると言います。何としてもユタ州へ戻りたかったエリザベスは、苦難ばかりなのでソルトレイクシティへ戻るよう神は望んでいると誘導。ヘプシバの後押しもあって、3人はヒッチハイクでユタ州へ。

ワイヤーによる拘束を解かれても恐怖に支配され、誰かに助けを求める声を上げることが出来なかったエリザベス。しかしずっと2人の会話を集中して聞いていたため、求められる役割を演じる術を身に着けていたのです。これまでインマヌエルが行ってきた心理操作を、エリザベスは逆にインマヌエルに仕掛け、ソルトレイクシティへ戻ることに成功!

エリザベス・スマート誘拐事件

2002年6月5日、アメリカ・ユタ州のソルトレイクシティで14歳のエリザベスが、9歳の妹と就寝中にナイフで脅され誘拐された。両親はエリザベスの学校の式典に出席していたため不在だった。無事だった妹が3時間後に親に話して発覚。翌朝、父親がテレビで犯人に呼びかけ、全米で大きく取り上げられた。

犯人はエリザベスを森の中の家に連れ込み、妻に命じて着替えさせ、結婚を宣言する儀式を行なったあとレイプ。それから毎日レイプされ、酒と薬を飲まされ、一夫多妻婚を強制された。

大規模な捜索を行うも見つからず、エリザベスの妹の証言を警察が重要視しなかったため、両親はその男の似顔絵をテレビで放映。すると犯人の親族からの通報で男の本名がわかり、重要参考人として指名手配された。事件発生から9か月後の2003年3月12日、同じ番組で似顔絵を見た人からの通報によって犯人夫婦と変装したエリザベスを発見。

誘拐、窃盗、婦女暴行などの容疑で起訴された夫婦ですが、夫は精神障害により責任能力なし、妻は懲役15年の刑が下された。その後2010年に夫には有罪判決が下され、2011年に終身刑が言い渡された。

実は夫には、16歳のときに8歳の少女に対する性犯罪で逮捕歴があった。男の2番目の妻が2人の娘たちに対する性的虐待を警察に訴え、娘のひとりも証言したが逮捕されなかった。また、エリザベス誘拐後も近隣の少女たちを追いかけまわしていた。自らを神から使わされた天使であるとし、あと7人の妻と結婚するつもりだった。それにより男は地元の教会から除名され、同月に誘拐事件を起こしていた。

ただのクソ野郎です。



【登場人物(キャスト)】

エリザベス(アラナ・ボーデン)

14歳の主人公。妹と就寝中に誘拐され、山中のテントで教祖とその妻とともに暮らすことに。誘拐されたその日からレイプと虐待を受け、第2夫人となることを強要される。家族を殺すと脅され、誰かに助けを求めることもできずにいた。洗礼名は自分で選んだエスター。

ブライアン・ミッチェル(スキート・ウールリッチ)

インマヌエルという預言者を名乗る教祖。エリザベスを誘拐し、レイプして第2夫人となることを強要。家族を恋しがるエリザベスに、家族は自分たちだと言い放ち、思い出を口にすることに激怒。”神のお告げ”と騙ってワンダとエリザベスを支配した。

ワンダ・バージー(ディアドレ・ラヴジョイ)

ヘプシバと呼ばれるミッチェルの第1夫人。ミッチェルを主と崇拝しながら、エリザベスに嫉妬心を抱く。冷たく接しながらも、常にエリザベスと行動を共にする。

【感想・評価・レビュー】

単純に、宗教は怖いと思いました。すべての宗教が悪とは思いませんが、信じる人の心を利用して教祖が好き放題するイメージが強いです。そういうのがカルト認定されるんでしょうね。信仰の自由によって警察も引いてしまったためにエリザベスの救出が遅れたし。

ちなみに被害者のエリザベスは、児童に対する性犯罪撲滅や被害者支援を精力的に行い、結婚して幸せに暮らしているそうなので、それだけが救いかな…。

人の心を手玉に取るのが上手いヤツが、実際にたくさんいるのも事実でしょうね。オウムでもそれが良くわかりました。絶対に騙されないと思う無信仰の私でも、いつ縋ってしまうかわからないのが宗教だと思ってます。一度信じてしまうと抜け出すのが難しいのもわかってます。

信仰は自由だけど、それを見極める心を持たなければならないと再確認した『エリザベス -狂気のオカルティズム-』はオススメ度「★★★★」

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最後までお付き合いいただきありがとうございました!

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