外の世界を知らない子供たち『籠の中の乙女』感想・評価・レビュー

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映画 籠の中の乙女/DVD

秘密の扉が開く…

2009年のギリシャ映画『籠の中の乙女』をご紹介します!

第62回カンヌ国際映画祭で「ある視点賞」を受賞し、第83回アカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされました。

性的、暴力的なシーンがあるため「R18+」となっています。家族の絆を壊されたくない父親と、そんな父親のもとで外の世界を知らずに育った子供たちの、人間の怖さ、エゴイズムなどを描いた作品です。

それでは最後までお付き合いください!

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『籠の中の乙女』のあらすじ

ギリシャの郊外で暮らす裕福な両親と3人の子供たち。この家族には秘密がありました。

両親は子供たちを家から一歩も出させず、社会から隔絶させて育てていました。名前も付けず、外の世界は恐ろしいと洗脳。さらに外の世界に関わる言葉は嘘の意味を教えるなど徹底した管理で、厳格な父親は家族全員に対して絶対的な存在でした。

長男が思春期に突入すると、父親は性欲処理用にクリスティーナという女性を雇います。しかしクリスティーナは、持参した外の世界の物をあげる代わりに長女にも性的な関係を要求。もらったビデオテープによって、長女が外の世界に興味を持ち始め…。

人間の怖ろしさやエゴイズムを描いた問題作『籠の中の乙女』予告編

みどころ

絶対的地位に君臨する父

ただひとり、仕事をしているために家の外に出る父。歪んだ愛情から、3人の子供たちを一歩も敷地内から出さないようにしています。外の世界は恐ろしいと洗脳しているのです。

子供たちは名前も付けられず、学校へも行かず、欲しいものがあれば父に頼み、外の世界を知らずに育ちます。家の周りには高い囲いがあり、外の様子はまったく見ることができません。家の中か敷地内で3人でゲームをしたり、プールで遊んだり、勉強しています。また、様々なことで3人を競わせて「シール」を賞とし、成績が悪ければ…?

現在の家族を壊そうとする人は、家族であれ他人であれ、ひどい罰を与えます。

隔絶された狭い世界しか知らないと、子供たちはこんな風に育ってしまうんでしょうか…。

徹底した管理

外の世界は恐ろしいと教えられ、敷地内を一歩も出ずに育った3人の子供たち。教育を担当するのは母で、外の世界に関わる言葉はウソの意味を教えられます。

例えば、”海”は革張りのソファー、”高速道路”は強い風、”ゾンビ”は黄色い小花、などなど。また、食事中に次女が「電話を取って」と頼んで母が渡したのは”塩”でした。

そして庭に侵入したネコを見た3人の子供たちは怯え、長男が気配を消して背後から枝切り鋏(ハサミ)でネコに襲い掛かります。母から連絡を受けた父は、服を切ったり血のりを使ってボロボロの状態で家に入り、ネコを危険な猛獣だと教えます。

両親は”電話”を隠しているため、子供たちは母が電話している際、独り言を言っていると思っています。もちろん”電話”という存在を知りません。先述のように、子供たちにとって”電話”=”塩”ですから。

崩れ始める”理想の家族”

外の世界を知らずに育ったとはいえ、子供たちは当然成長していきます。ある日、父は会社の警備員をしているクリスティーナを雇います。思春期に入った長男の性欲処理のためです。

しかしクリスティーナは、長女にカチューシャをあげる代わりに性的な関係を要求。キラキラして暗いところで光るというカチューシャは、長女にとっては珍しく、手に入らない外の世界の物でした。最初は躊躇なく受け入れた長女でしたが、そのカチューシャは光らず、嘘つきだからもう二度としないと拒否。

もっといい物が欲しいと、クリスティーナのバッグの中にあったビデオテープを要求。深夜、家族が寝静まったのを見計らってそのビデオを見た長女は、外の世界に興味を持ち始め…。

私からすれば異常に見えますが、それが普通だった家族はある意味幸せだったのかもしれません。でも世界は広い。長女が興味を持つのも当然のことでしょうね。



残念なところ

意味が分からないまま物語は進み、最後もどうなったのかわからず終い。最初から最後までイヤな雰囲気が漂っています。

開始7分程度で濡れ場が始まり、モザイクはあるものの、全体を通して濡れ場が多いです。

この作品を通して伝えたかったことが、一切わからなかったのが残念なところ。見終わってもモヤモヤが残ります。

登場人物

・・・厳格。外の世界は恐ろしいものと子供たちを洗脳。外の世界と隔絶して育てる。

・・・夫に従順。教育を担当。言葉を教える際は、ウソの意味を教える。

長女・・・好奇心旺盛。性的関係とクリスティーナの持ち物を交換。そのうちのビデオで外の世界に興味を持ち始める。

次女・・・純真。医療に興味を持っている。

長男・・・心優しい。

クリスティーナ・・・外の世界から来た女性。長男の性欲処理のために雇われた。長女にも手を出す。

感想・評価・レビュー

あるYouTuberの動画で紹介されていたのを見て鑑賞。”歪んだ家族愛を描いた作品”と紹介されていましたが、予想の斜め上を行きました。

「母は犬をすぐにでも生みます」とか言うんですよ…。子供たちは何の疑問も持たない、その程度の知識なんです。3人の遊びも、無邪気で悪気がない狂気に満ちていて怖いです。そのまま時が経って両親が亡くなった時、子供たちはどうなるんでしょうか?

現代の家父長制『籠の中の乙女』はオススメ度「★★★」

次の作品をお探しの方は、官能ミステリー邦画「Strange Circus 奇妙なサーカス」へ!

最後までお付き合いいただきありがとうございました!

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