子供が求めた母の姿。それはとても恐ろしい存在だった。
今回観てきた作品は2013年に公開されたスペインとカナダの共同制作ホラー映画「MAMA」。この世のものではないMAMAのグラフィックが怖すぎる・・・。
色んな怖さが詰め込まれながらも、子供を想う母親の愛が込められた作品です。
空白の5年間で変貌してしまった子供も印象的で、序盤からかなりの衝撃を受けると思います。
子供が育ての母親に心を寄せていく姿や、子供を望んでなかったアナベルが母性に目覚めていく姿は感動すら覚えました。
かなり完成度の高いストーリーは誰かにオススメしたくなるほど面白い作品です。
それでは子を想う母親のホラー作品「MAMA」の面白さを感想と共にレビューしていきますのでお付き合いください。
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かんたんなストーリー紹介！
会社の経営者であるジェフリーは経営の失敗により精神を病んでいた。ある日、共同経営者二人と自らの妻を殺害し、幼い2人の娘を連れて森の奥の山小屋に辿り着いた。
そこで姉妹を殺害して自らも死のうと考えている。銃口を娘に向けた瞬間、小屋に突如現れた何者かにジェフリーは殺害されてしまう。
それから5年後、ジェフリーの弟・ルーカスは姉妹を探し続けていた。山小屋で奇跡的に生還していた姉妹はまるで獣のようになっており、病院で保護されることになった。
ルーカスはドレイファス博士の協力のもと2人の姉妹を引き取り、恋人のアナベルと暮らし始めるが不可解な現象が起こり始めた・・・。
この作品の見どころ紹介！
変わり果てた姉妹と不可解な現象
父親に殺されそうになった姉妹はまだ幼く（1歳と3歳くらい）、誰もいない山小屋で5年の月日を生き延びていました。
2人の姿は野生化というより異形の存在と思えるほど変わり果て、四足歩行で威嚇してくるほど・・・。
そこに最初の恐怖がありますが、保護された後にルーカスが優しく歩み寄ると人間らしさを取り戻していきます。この時父親の姿を求めるヴィクトリアの姿を観た時、ホラー作品と忘れてしまうほど痛ましい感情でいっぱいになりました。
しかしこれはホラー映画。2人と暮らし始めたルーカスとアナベルの周りでは不可解な現象が起こり始めます。
妹のリリーがヴィクトリアと毛布を引っ張って遊んでいると思いきや、アナベルの後ろから現れるヴィクトリア。部屋には毛布を引っ張る影がしっかりと見える。
そしてルーカスは壁に浮かび上がった黒いシミから飛び出した何者かに襲われ、階段から落ちて入院してしまう事に・・・。
エスカレートしていく現象と、実態を表していくMAMAの恐怖は少しずつ激しさを増していきます。
心を開いていく姉妹とアナベル
この作品にはホラー映画でありながら、徐々に母親となっていくアナベルと心を開いていく姉妹が非常に魅力的な物語でもありました。
姉妹と一緒に暮らし始めたばかり頃は散々手を焼いていたアナベルですが、外で凍えているリリーを抱きしめて暖めるなど母性に目覚めていきます。
姉妹も人として生活していくうちに人間性を取り戻していき、アナベルと距離を縮めていきました。
そして姉妹がママと呼ぶ存在が嫉妬するほどアナベルに心を許していくヴィクトリアの姿は、本当の娘になりたがっているようでした。
子供を欲しがっていなかったアナベルと、母親という大きな心の拠り所を求めているヴィクトリアが、かけがえのない存在になっていく過程もこの作品の見どころです。
子供にとってママという存在がどれほど大切で大きい存在なのか、それぞれの心境の変化を汲み取りながら観ていただきたいと思います。
明らかになっていくMAMAの存在
保護された姉妹たちが生き延びた理由について調べるために、ドレイファス博士はヴィクトリアに催眠術を試していきます。
初めは「ママ」という言葉を口にしたヴィクトリアに、精神を保つために架空の母親を作り上げた解離性同一性障害だと予想していました。
しかし物語が進むにつれ、MAMAの存在が明らかになっていきます。
アナベルが目にした姿は長い髪は舞い上がり、やせ細った体に白目の女性で、その姿はこの世のものとは思えない恐ろしい！
クローゼットにいるとわかっていながらも、現れた瞬間ビクッとなってしまいました。
そして後半になるほど激しさを増し、ありえない動きとどこから現れるかわからない不安感が観ている人を恐怖のどん底に叩き落します。
MAMAの正体はイーディスという女性なのですが、過去に子供に未練を残して死んでいました。（極力ネタバレしたくないので、その詳細は自身の目でご確認ください。）
まとめ・評価
子供にとって大切な存在である母親が恐怖対象の「MAMA」は考えさせられる内容と恐怖がしっかり詰め込まれた作品でした。
何よりMAMAの動きが怖すぎる！何度も言いますが、かなり怖すぎです・・・。
子供にとって母親がどれだけ心の支えになっているのか、大事な存在なのかが伝わってくる作品でもあります。
姉妹が異形の存在をMAMAと認識した年齢の違いによって、最後に求めるものが違うというのも奥が深い。
ラストは賛否両論あるみたいですが、「捨てるんかーい！」と突っ込むことは間違いないでしょう。
最後に評価ですが、ホラーとしての恐怖感はしっかりと込められていながらもどこか温かい気持ちにさせてくれる作品ですが、納得しながらも心に引っかかるラストだったので「オススメ度★★★★」で締めたいと思います。
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