(実話)冤罪で懲役10年の判決を下された15歳の少年 韓国映画『善惡の刃』感想・評価・レビュー

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韓国映画 善惡の刃/DVD

国家権力の闇

2017年の韓国映画『善惡の刃』をご紹介します!

2000年に韓国で実際に起きた冤罪事件「薬村(ヤクチョン)五叉路(オゴリ)タクシー運転手殺人事件」をもとに作られたフィクションです。

タクシー運転手が刺殺される事件が発生し、逮捕されたのはナイフを所持していただけの第一発見者、15歳の少年。暴行などにより肉体的にも精神的にも追い込まれた少年は、裁判で無実を訴え続けるも有罪判決が下されてしまいます。

一発逆転を狙う敗訴続きの弁護士を、先日ご紹介した「レッド・ファミリー」のチョン・ウ、冤罪で服役した男を「麗~花萌ゆる8人の皇子たち」のカン・ハヌルが好演。

それでは最後までお付き合いください!

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『善惡の刃』のあらすじ

2000年8月10日、薬村五叉路(ヤクチョンオゴリ)でタクシー運転手が刺殺され、15歳の少年チョ・ヒョヌが逮捕されました。事件の第一発見者で、通報して事情を説明していましたが、乗っていたバイクのイスにナイフを隠し持っていたのです。

ヒョヌは裁判で「殺していない」と訴えるも、懲役10年の刑期を終えて出所。しかし被害者遺族へ賠償金の支払いに悩んでいました。

一方、敗訴続きで借金を抱えていた弁護士イ・ジュニョンは、一発逆転を狙ってヒョヌに事件の再審を持ち掛けます。「本当に殺していない」と言うヒョヌにジュニョンは…。

果たして真実は!?映画『善惡の刃』予告編

みどころ

冤罪で逮捕された15歳の少年

喫茶店でのアルバイトの帰り、バイクに乗りながらタバコに火を付けようとしたところ、急に人が目の前に現れて転倒。怒鳴りつけるもそのまま去ってしまいました。その直後、目の前に停まっていたタクシーの運転手が死亡しているのを発見して通報するも、バイクのイスにナイフを所持していたことで犯人にされてしまいます。

ナイフを発見したペク刑事は、ヒョヌを警察署ではなくホテルに連れて行き、殴る蹴るの暴行を加えて追い込みます。嘘の供述書を作成し、証拠をねつ造し、暴行によって得た自白によって懲役15年の判決が下されます。

10年服役して出所し、勤労福祉公団が肩代わりした遺族への補償金4000万ウォンに利息がついて1億7000万ウォンを請求され、返済できなければ再入所の可能性も…。

再審請求しようと言う弁護士イ・ジュニョンに、「もう10年服役した」と投げやりな態度をとっていたヒョヌですが、一貫して「殺していない」と言います。最初は自分を殺人鬼扱いしていたジュニョンが、事件の資料を再現してから人が変わったように他人の話に耳を傾けているのを見て、全財産を渡して再審請求を決意。

今でも自白の強要は秘密裏に行われているのでしょうか?ないと言い切れないのが恐ろしい。15歳から10年間、無実の罪で刑務所暮らしはひどすぎる…。

敗訴続きの弁護士の起死回生案

妻と娘がいる弁護士イ・ジュニョンは、敗訴続きで借金は膨らむ一方。大企業を相手取った裁判で、「出世や金儲けのために裁判を利用して厚かましい」と裁判官に非難されて敗訴。1万人を超える原告にも「詐欺師」と罵られ、そそくさと逃げ出します。

大手弁護士事務所”法務法人テミス”に勤めている友人モ・チャンフンに頼みこんで代表に会うも、「利益最優先」と発言して呆れられて、任せられたのは”無料相談”。

予約が入っていたチョ家を訪ね、息子ヒョヌが多額の賠償金の返済に困っていることを聞きます。ジュニョンはそれを利用して一発逆転を狙い、ヒョヌの再審請求をテミスの理事会に提案。しかし10年以上前の裁判の再審に、理事会は難色を示しますが、結局代表が承諾。「成果によってはパートナー弁護士にする」とまで言われます。

まずはねつ造を明らかにしようと考え、事件の資料を再現して時間を計り、ヒョヌには犯行が不可能だったことがわかり…。

あれだけ利益最優先と熱く語っておきながら、ふとしたことで人情派になるなんてあるの?

もみ消された真実

ヒョヌが刑務所に入った3年後、実は真犯人が明らかになっていました。告発の電話があったのです。しかしヒョヌは釈放されず、真犯人の存在も公になりませんでした。

警察と検事が手を組み、「懲役15年を10年に減刑するには、犯人だと認めること」と言い、ヒョヌに自白の手紙を書かせました。そして通報した人と真犯人をヒョヌと同じようにペク刑事が暴行し、体裁を守るために検察がもみ消したのです。

その結果、減刑はされたものの、殺人犯として10年服役し、出所後は賠償金の請求と”殺人犯”というレッテルが付きまとうことに。

再審請求を決意した矢先、ペク刑事たちの邪魔が入ります。弁護士の友人モ・チャンファンが、ジュニョンを裏切ってチェ・ヨンジェ検事に密告していたのです。

体裁のために他人を踏みにじるか…。私利私欲のために裏切るか…。友情よりお金なのか…。

薬村五叉路タクシー運転手殺人事件

2000年8月10日、韓国全羅北道(チョンラブクド)益山(イクサン)市の薬村五叉路(ヤクチョンオゴリ)で、タクシー運転手が肩や胸など12ヵ所を刺されて死亡した事件。

第一発見者の当時15歳の少年Aが逮捕・起訴され、懲役10年の有罪判決。満期で出所したのち、再審を請求して無罪となりました。

被害者は12ヵ所も刺されていたにも関わらず、Aの持ち物からは血液は検出されず、タクシーにはAの指紋もなかったのに…。検察は証拠のねつ造、暴行や拷問による自白の強要などがあったことを認めて謝罪。

2016年に事件当時19歳の少年Bが真犯人として逮捕。強盗目的でタクシーに乗り、到着時にナイフで刺したとみられていますが、否認しているそうです。

謝罪じゃ済まないよね。まさにヒョヌの言うとおり、「法は本当に、人を守るためにあるのか?」ですね。

残念なところ

前半は面白かったのに後半に行くにつれて失速。盛り上がりに欠けました。事件の核心に迫るかと思いきや、最後は再審が始まるところで終了し、その後は文字テロップで終わり。

でもやっぱり少年犯罪の実話ということで、脚色されていたにせよ、見ごたえがある作品でした。カン・ハヌルがイケメンだった…。

 

主要人物(キャスト)

イ・ジュニョン(チョン・ウ)・・・弁護士。敗訴続きで職にあぶれ、話題性のあるヒョヌの再審請求で、一発逆転を狙う。

チョ・ヒョヌ(カン・ハヌル)・・・タクシー運転手殺害事件の犯人として逮捕、10年間服役して出所後、賠償金の支払いに悩んでいる。

モ・チャンファン(イ・ドンフィ)・・・ジュニョンの友人。大手弁護士事務所”法務法人テミス”に勤めている。独立資金を貯めるため、敵に密告して裏切っている。

ヒョヌの母(キム・ヘスク)・・・糖尿病による視力障がいを持っている。息子の無実を信じ続け、賠償金の支払いに困って無料法律相談を予約。

感想・評価・レビュー

国家権力の闇ですね。完全にタブーでしょ!あってはならないことですが、間違えたなら認めて謝罪するのが道理でしょう。体裁よりも人を大事にしてほしい。

実話ですからねコレ。検察総長が謝罪してますからね。謝ったぐらいじゃ済まないけど。15歳の10年は長いよ…。青春時代を冤罪で刑務所って絶望しかない。

日本でもありましたよね。45年間収監された”袴田事件”、17年間服役した”足利事件”などが有名でしょう。実は他にも冤罪事件はたくさんあります。二度と起きないようにしてほしいですね。

冤罪が晴れて良かった『善惡の刃』はオススメ度「★★★」

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最後までお付き合いいただきありがとうございました!

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