現代に現れた、史上最悪の独裁者
2012年に発表されたドイツのベストセラー風刺小説を映画化した『帰ってきたヒトラー』をご紹介します!
この作品の撮影にあたり、プロデューサーはヒトラー役を探すため、様々な舞台を観劇し、やっとのことで見つけたのがオリヴァー・マスッチ。リアルなヒトラーを生み出すため、無名の名優をキャスティングする必要があったそうです。
ヒトラーが市民と会話するシーンでは、実際に街中で市民と対話するアドリブ形式で撮影されています。さらにドイツ国家民主党(NPD)の集会にヒトラー姿で参加して揉めて大混乱になり、最終的にはNPD党員と打ち解けたそうです。
大量虐殺を行い、第二次世界大戦を引き起こした張本人、アドルフ・ヒトラーが現代に・・・。
それでは最後までお付き合いください!
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【あらすじ】
1945年に自殺したアドルフ・ヒトラーは、自殺直前の記憶を失った状態でベルリンの空き地で目を覚ます。人々が自分を総統と認識していないことに疑問を抱いたヒトラーは、2014年のベルリンであることに気付きますが、空腹と疲労が重なりその場に倒れてしまいます。数日後、介抱してくれたキオスクの主人の紹介で、トーク番組にゲスト出演し、政治トークで一躍人気者に。しかし、あるスキャンダルで番組を降板させられたヒトラーは、自身の復活談を描いた『帰ってきたヒトラー』を出版。
【みどころ】
ヒトラーは現代でもヒトラーだった
ザヴァツキとともにドイツを旅することになったヒトラーは、テレビを見てもっと有用な番組を作るべきだと考えます。そこで思いついたテーマは”政治”。町で人々に意見を求め、民主主義が根付いていないと知り、政治不信こそがドイツの問題だと確信します。旅の途中、シェパードをレンタルしようとしていたところ、嚙みついた子犬を射殺してしまいます。さも当然のように、反省や慈悲の言葉もなく、こうでもしなければわからないと言い放ちます。そのまま旅を続けながら、各地で人々に話を聞き、若者を中心にSNS上で一躍有名に。
民衆の声に耳を傾けて変革しようとするヒトラーは、生まれた時代が違えば独裁者にはならなかったのかもしれませんね。
扇動の天才、ヒトラー
「my tv」の会議で局長に気に入られ、政治を茶化すトーク番組にモノマネ芸人としてゲスト出演。そこでヒトラーは、しばらくの沈黙の後テレビ番組を批判し、”反撃放送”を行うと宣言。その自信に満ちた演説は観客や視聴者の心を掴み、以降テレビ番組に引っ張りだこ。YouTube上でもヒトラーで持ちきりになるほどの反響でした。こうしてヒトラーは現代でもそのカリスマ性を発揮し、大衆の心を掴みます。その後ヒトラーは町で自分に賛同する人々を募りますが、民衆扇動の告訴状が届いた検察によって局に捜査の手が・・・。
完成度の高い芸と認識されますが、そりゃまあ本人ですしね・・・。
ヒトラーから見た日本
ヒトラーは著書「わが闘争」で日本人を酷評しています。日本人に対して差別的見解が多く、”想像力の欠如した劣等民族、ただしドイツの手先としてなら役に立つ”と見ていることが書かれています。日独の同盟や好意的な発言は、政治的な利点によるものであって、思想的には非難すべきと見ていたのです。日本の外交政策を称賛しながら、日本が最終的な敵国になるとも考えていたようです。「大戦争が起きれば各国が共倒れになり、唯一の勝者が日本になる」とも言っていたそう。日本との同盟関係が深まるにつれて蔑視は減り、国民に和食の普及や日本語教育を試みるなど、日本文化に傾倒したのも事実です。
【登場人物】
・アドルフ・ヒトラー・・・1945年に自殺したナチスドイツの総統。2014年にタイムスリップした事実を受け止め、人々の声を聞く旅で現実を知り、再び政界復帰を目指す。
・ファビアン・ザヴァツキ・・・テレビ会社「my tv」をクビになり、復帰するためにヒトラーと旅をする。唯一、ヒトラーが本物だと気付くが、精神病棟に隔離される。
・カッチャ・ベリーニ・・・テレビ会社「my tv」局長。ヒトラーのスキャンダルによってクビに。
・フランツィスカ・クレマイヤー・・・ザヴァツキの恋人。ヒトラーにインターネットを教える「my tv」の社員。
【感想・評価・レビュー】
聞きなれないドイツ語の映画でしたが、独裁者としてのヒトラーしか知らなかった私も楽しめる作品でした。撮影にあたり、ドイツの人々が好意的だったということに驚き。さすがにネオナチの人たちからは非難の声が上がったようですけどね。
この作品を見たことによって、私も色々調べるきっかけになりました。ヒトラーが称賛した”ヴィキペディア”を使って!
フィクションにドキュメンタリーを融合させた『帰ってきたヒトラー』はオススメ度「★★★」
最後までお付き合いいただきありがとうございました!
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