この殺人事件の底にあるのは純粋な愛だった。ガリレオ「容疑者Xの献身」【感想・評価・レビュー】

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2人の天才が魅せる推理対決。それは殺人という悲しい事件の中で

今回は非常に純粋で歪んだ形で表現された愛情が込められているミステリー作品「容疑者xの献身」を観てきました。

ちなみに私は東野圭吾先生のファンであり、ガレリオシリーズである原作の小説も読んでいます。原作の良さを上手く再現されたとても良い作品でした。

湯川学を演じる福山雅治さんの個性と演技力も素晴らしいのですが、非常に難しい石神哲也を演じる堤真一さんの演技と表現力はとても素晴らしいものでした。

1人の女性が犯した殺人からはじまる、天才数学者と天才物理学者の推理戦。そしてその底にあるのは、気付かれてすらいない感謝と愛情。

そんな深く悲しい事件の物語です。

それでは映画「容疑者Xの献身」の面白さと怖さを感想と共にレビューしていきますのでお付き合いください。

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かんたんなストーリー紹介!

あるアパートに花岡靖子(松雪泰子)娘の美里(金澤美穂)の2人は暮らしていた。ある日そのアパートに靖子の元夫・富樫慎二(長塚圭史)が居場所を突き止め訪ねてきた。

どこに逃げても現れ、暴力を振るう富樫。この日、美里を守るため大乱闘の末、殺してしまう。

殺してしまった現実を理解し、呆然とする母子の部屋にチャイムが鳴り響いた。現れたのは隣人の天才数学者・石神(堤真一)だった。

石神は母子を救うため、論理的思考によって計画し2人に支持を出していく。

そして3月11日。旧江戸川で死体が発見された。死体は富樫と断定され、警察の捜査が元妻の花岡靖子に向かい、疑いをかけられていく。

捜査が進むにつれ、実証されていく靖子のアリバイ。頭を抱えた草薙刑事(北村一輝)は友人の天才物理学者・湯川昇(福山雅治)に相談を持ち掛けた。

石神と大学時代の友人だった湯川は傍観を通していたが、石神が犯行に絡んでいる事を知り、真相の解明に乗り出していく。

容疑者Xの献身(プレビュー)

今作の見どころ紹介!

天才が魅せる複雑な謎

天才的な頭脳を持つ数学者でありながら、高校教師をしている冴えない中年男性・石神哲夫。彼が絶望の中、花岡母子の優しさとあたたかさに触れ、救いたいと手を差し伸べた事から複雑な謎は生まれていきます。

石神がこの殺人事件の真相に辿り着かないよう、計算しつくされたアリバイの謎を天才物理学者・湯川昇が解き明かしていくストーリーが実に面白い。

この作品の重要な所は大学時代の友人である二人の天才は、お互いを認め、理解しているという事!

元夫が邪魔だからと言って、殺すという不完全な行動を石神がとるはずはないと言い切った湯川の姿から、石神をどれだけ認めているかが伝わってきます。

観察し・仮説を立て・実験によって実証していく物理学者と、問題を様々な角度から見ることによって謎の正体を明らかにし、頭の中でシュミレーションをしていく数学者。

答えにたどり着くまでのアプローチの違いが謎をより深くし、わずかなズレとなることで難解になっていきます。

真相に迫っていく湯川と、靖子を救える答えに辿り着くようカードを切っていく石神の姿をぜひ楽しんでいただきたい。

石神が見せる純粋で歪んだ愛

先にお伝えしておかなければならないのは、ここでいう「愛」とはあなたが想像しているような恋から発展していく愛ではありません。

人生に絶望し、全てを投げだそうとしていた石神が触れた優しさは、暗く閉ざされた心の闇に入り込んできた光なんです。

って、いきなりこんな説明してもあなたの頭の中には「???」しか残らないですよね。

他人から優しさを受けることなく生きてきた石神は、絶望の底にいるときに初めて他人からの優しさに触れることが出来ました。

それは靖子にとっては些細な事。日常のあいさつや会話が石神の心を豊かにしていくきっかけだったのです。

そして密かに生まれた恋心が、自分の人生を犠牲にしてでも幸せにしてあげたいという愛情に変わっていってしまいました。

そんな二人は事件をきっかけに親密になり、歪んだ形の関係性を続けていく事になります。

さすがに石神のような深い絶望を感じた方は少ないと思いますが、もしあなたが大切な人を失ってしまったり、辛い環境などで心から沈んだ経験があるのなら、石神がもらった心の温かさを理解できると思います。

ネタバレを防ぐために詳しい内容は控えますが、不器用な人間が見せる愛の形をあなたが作中からどのように感じ取るのか楽しみです。

ラスト25分で明かされる謎と愛

堤防で見つかった謎の変死体。顔が潰され、指紋と衣服が焼かれた状態で見つかりやすい所に放置されていた理由はあなたに想像できるでしょうか?

推理好きの方なら顔を潰す理由や、指紋を焼いた理由はなんとなく想像ついたでしょう。

しかしその一つ一つの謎には理由があり、石神が間違った答えに辿り着くようなひっかけが多く存在していました。

湯川が少しずつ解き明かしていきながらも、終盤の石神のある行動で半強制的に石神が望んだ答えに辿り着かされるわけですが、そこで予想だにしていなかった靖子の行動ですべてが崩れてしまいます。

そのきっかけは石神が最後に靖子に渡した一通の手紙。そこには異常な行動をとっていた石神がどのような事を考え、靖子にどうなって欲しいのかを書いた手紙でした。

絶望の底から救ってくれた靖子の幸せな未来だけを願い、気付かれるはずのない優しさへの感謝の言葉を綴った内容は、靖子の心を動かし想定外の結末を迎えさせてしまいます。

多くの謎が存在した事件が結末を迎え、最も謎だった石神の心の声を聞いた時、恋愛とは違うもう一つの愛の形を観ることが出来るのではないでしょうか。



 

この作品の残念な所

かなり原作を再現化された作品だと思いますが、先に書籍版の「容疑者xの献身」を読んでいた方には少し残念だと感じることも多いでしょう。

ちなみに私は原作を先に読んだ時、石神の天才的な発想や暗さが十分に伝わってきてかなり感情移入して読んでしまいました。

次に石神がどういう行動をとるか、どのような考えを持って行動しているのかドキドキしながら読んだ記憶があります。

この作品は細かい部分の説明不足から、石神が頭の良い変人とも思えるような所があったので非常に残念です。

堤真一さんは非常に素晴らしい演技をされているので、配役ではなく説明が不足しているというだけ。(一つ難癖付けるなら、私が想像する石神よりイケメン過ぎた事・・・)

もちろん湯川役の福山雅治さんもイケメン過ぎました。キャラが適役過ぎて文句のつけようはないです。

原作はそれぞれの登場人物をより深く、魅力的に理解できるので、気になる方はぜひ原作を読んでみていただきたい。この作品で語られていない部分も多くあり、本を読みなれていない人でも夢中になれると思いますよ。

まとめ・評価

今回観てきた「容疑者xの献身」は配役も素晴らしく、原作の良さをしっかり再現されていた名作だと思います。

東野圭吾先生の人間の光と闇の部分をしっかりと見せてくれる作品は、本当に存在する一人の人間だと錯覚してしまうほどリアルに感じてしまいます。

そして先の読めない推理合戦は、あなたを画面に釘付けにする事間違いないでしょう。

ドラマのガリレオシリーズからハマった方にも、この作品はぜひ観ていただきたい作品です。

原作を知らない方に「東野圭吾ってこんなに凄い物語が作れるんだよ」って、わかってもらうのにとてもいい作品だと思います。

また、福山雅治さんと堤真一さんのカッコよさは異常ですね。

最後に個人的評価ですが、人間の深い心理状態をしっかりと表現されて結末の読めないストーリーは最高の作品でしたが、原作の細かい説明がないことが非常にもったいない作品だったので「オススメ度★★★★」で締めたいと思います。

長々とお付き合いいただきましてありがとうございました。

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