狂気に満ちたとき、人は悪魔に変わる。「シャイニング」【感想・評価・レビュー】

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映画 シャイニング/DVD

知れば知るほど強くなる恐怖!狂った人間は恐ろしい。

今回観てきた作品は1980年公開のイギリス映画「シャイニング」。古い作品でありながら、映像作品としてかなり見ごたえのある作品でした。

正直に言うと1回目観たときはそれほど恐怖を感じなかったです。様々な所に散りばめられていた謎を考察するために繰り返し見るうちに、作りこまれた世界観がとても異様なものに感じられてきました。

冬の間は閉鎖されるホテルの管理人として住み込むうちに、狂気に満ちていくジャックが魅せる人間としての怖さがこの作品の魅力であり、この時代にこれほどの映像作品が作られたという事が素晴らしいと思います。

作品の中で説明不足な描写を考察して散りばめられた異変を見つけ出すことが好きな方には忘れられない作品となり、伏線を回収できない方には意味の分からないまま見終わってしまう作品になってしまうでしょう。

それでは「シャイニング」の見どころや見落としやすい謎について、感想と共に書いていきますので興味のある方はお付き合いください。

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簡単なあらすじ紹介!

コロラド州のロッキー山脈にある「オーバールック・ホテル」は冬の間、豪雪のため閉鎖される。閉鎖期間の建物を管理してくれる人間を探していたところ作家志望のジャックが現れた。

しかしこのホテルでは過去に管理人だった男が自分の妻と二人の娘を斧で殺害し、自身も自殺したといういわくつきの場所。

隔離された静かな環境で執筆活動を出来る場所を探していたジャックは、その仕事を受けて家族と共にホテルへと向かった。

到着するとそこは豪華なホテル。しかし、超能力「シャイニング」を持つ息子のダニーはホテルの異様さに気付いていく。

日に日に異変が起きていくホテル、そして狂気を増していくジャック、この場所で再び惨劇は起こるのだろうか・・・。

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この作品の見どころ紹介!

ストーリーが進んで行くたびに繋がる別の世界

インディアンの墓地の上に作られたオールバック・ホテルでジャック一家が暮らしていくうちに、少しずつ異常な現象が起きていきます。

最初に気づいたのは「シャイニング」の能力を持つ息子のダニー。トニーという口の中に住む友人が未来を見せてくれるという能力なのだが、過去の事件で死んだはずの双子の姿も見えていました。

ジャックも少しずつ狂気に満ちていき、あちら側の世界の住人と会話していくようになってしまう。

そしてウェンディも含め、全員があちら側の世界に行ってしまった時、過去に行われた惨劇が繰り返されようとしていきました。

少しネタバレになりますが、ホテルの中では現実の世界とあちら側の世界の二つが同時に存在し、ジャックは前世の狂気を取り戻してしまいます。

この作品は難解な部分が多いので、多少のネタバレでつまらなく感じることはないと思います。

むしろ二つの世界があると知っていた方がこの作品の怖さがより感じれるかも・・・。

美しく異様なシンメトリーの世界

この作品ではホテルの内部のいろんな場所が、左右対称のシンメトリーに作られています。

一見、とても美しく感じるのですが、人工的で整然とした空間は異空間に迷い込んでしまったような感覚になってしまいます。

そして左右対称の空間に現れる双子の少女は、同じ服を着て並んで立っているだけなのに不気味な恐怖感を感じました。

さらに広いホテル内の廊下は幾何学模様が施されたシンメトリーの空間を、息子のダニーが三輪車で走り回るシーン。

ステディカムを使った滑るように追いかけていく視点は、ホテルの広さを観ている人に認識させ、迷路に迷い込んだような非現実感を感じさせてくれています。

ホラー映画の舞台が廃屋など荒れ果てた空間ではなく、美しく整った人の居ない空間がとても怖いと感じさせてくれる作品です。

観る方はこの点にも注目して観ていただきたい。

演者の演技力が凄すぎる!

今作の主人公ジャックとその家族、そして妻のウェンディと息子のダニー。三人の緊迫した演技が上手すぎたことがこの作品の恐怖感をしっかり出せた要因だともいます。

ジャックの徐々に病んでいき、行動や形相が変わっていく様は明らかに異常で狂っていく様がしっかり伝わってきます。

誰もいないはずのバーカウンターでロイドと話し出したときから表情豊かになり、狂気に満ちた目をしだしてからは全てが恐ろしく感じてきました。

そしてウェンディの苦悩する表情や変わり果てたジャックにおびえる姿、ダニーの子供とは思えないほどしっかりと緊張感を出した演技は凄いとしか言えないです。

ダニーが「レッド・ラム」と繰り返し言いながらナイフを手にしている姿は背筋がゾクゾクしてくるので見る方は楽しんでください。



この作品の残念な所・・・。

伏線の回収が一度観ただけでは難しい

この作品は一度観ただけでは伏線は回収することが出来ず、所々で出で来る重要な会話の内容ですら意味不明に感じてしまうと思います。

突如現れるジャックの家族以外の人間、ダニーに未来を伝えたトニーの正体、シャイニングの能力、ジャックが狂気に満ちた行動をする原因などわからないまま見終わることになるでしょう。

何度も観ることで、一つずつ繋がっていきますが、その全てが作中で語られているわけではないので観れば観るほど恐怖感が強くなっていく作品です。

私も何度も見た作品ですが、すべてが判明したわけではなく三回目くらいから背筋がゾクゾクするような恐怖感が出てきました。

一度観ただけではこの作品の本当の素晴らしさや恐怖感はわからないと思いますので、考察しながら観ることをオススメします。

原作を先に読んだ方は違いに衝撃を受ける

この作品はスティーブン・キングの同名小説をスタンリー・キューブリックが映画化した作品だが、原作を大幅に変更しているため小説の話とはほとんど別の作品になっています。

この変更に原作者のスティーブン・キングは批判し、17年後にドラマ版で再映像化を試みたほど批判を繰り返していました。

キューブリックの作品では「シャイニング」の能力もあまり取り上げられず、同じ能力を持つ料理人のハロランも重要な役割ではなかった。

そしてキューブリックが映像化した作品には119分と143分の二つがあるが、彼が本当に魅せたかった作品は119分の余計なカットが削除された方らしいです。

原作と大きく変わった「キューブリックのシャイニング」という作品として、観ていただきたいと思います。

まとめ

残り続ける難解な名作「シャイニング」は狂気と化した人間の怖さと悪夢を観ているような恐怖感を与えてくれる名作でした。

奇妙な音と絶妙な間が不安感を煽りこの世界の真相がわかってくるほど怖くなる作品です。

恐らく一度観ただけの方は意味不明な作品だと言い、2度以降観た人は名作だと語る事になるでしょう。(個人的推測です。)

現時点での個人的な考察は、生まれ変わったジャックはあちら側の空間に入り込んだ時から過去のジャックに同調して狂気に満ち、一人残った事であちら側の世界で再び囚われているのではないのかなぁと・・・。(観ていない方には意味不明だと思いますが、謎が多いので自分の考えを書いてみました。)

何度も観ていますが、また観てしまう作品だと思います。

そして約40年の月日が経って続編が作られ、2020年の一月に公開予定なので、気になる方は再度観ていただきたいと思います。

最後に評価は、緊張感の伝わる演技と描写に加えて理解するほどに恐怖感が増す素晴らしい作品でしたが、気軽に映画を楽しみたい方には難解すぎる所もあったので「オススメ度★★★★★」で締めたいと思います。

(※続編が素晴らしい作品であることを期待しております。)

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