(実話)置き去りにされた子供たち 映画『誰も知らない』感想・評価・レビュー

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映画 誰も知らない Nobody Knows/Blu-ray DVD

子供4人の漂流生活

2004年の是枝裕和監督作品『誰も知らない Nobody Knows』をご紹介します!

1988年に発生した巣鴨子供置き去り事件を題材として、是枝裕和監督が構想に15年をかけて完成した作品です。キネマ旬報やフランダース国際映画祭で最優秀作品賞を獲得するなど、国内外の映画賞を多数獲得しました。

主演の柳楽優弥は、本作が初オーディションながら主役に抜擢され、第57回カンヌ国際映画祭にて当時14歳で史上最年少および日本人初の最優秀主演男優賞を獲得。

父は蒸発、母は子供たちを置いて恋人と同棲。そんな中、幼い妹弟の面倒を見る12歳の長男の姿を見て、あなたはどう感じるでしょうか?

それでは最後までお付き合いください!

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『誰も知らない』のあらすじ

2DKのアパートに、母親のけい子と息子の明が引越してきます。夫が長期出張中の母子2人と挨拶しますが、実はけい子には明以外の子供が3人おり、スーツケースの中には次男の茂、次女のゆきが…。遅れて長女の京子も人目につかないようこっそり家にたどり着きます。

子供4人の母子家庭だと知られたら家を追い出されかねないと、明以外は外出を禁じ、子供たちに厳しく注意。子供たちはそれぞれ父親が違い、学校に通ったことがありません。

引っ越してしばらくすると、恋人ができた母がメモと少しの生活費を置いて帰ってこなくなります。そこから子供4人だけの、誰も知らない生活が始まります…。

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みどころ

秘密の転居

2DKのアパートに引っ越した母と息子の明。夫が長期出張中の母子2人での挨拶をアパートの大家に済ませ、荷ほどきを始めた2人。

大きなスーツケースを開けると、そこには次男の茂と次女のゆきが。それだけではない、遅れて長女の京子も、こっそり家にたどり着きます。母子2人ではなく、明を含めて4人の子供がいたのです。

その事実が知られれば家を追い出されるかもしれないと、明以外の外出を禁じ、他の子供たちにも厳しく言い聞かせます。

確かに5人での2DKは狭いだろうけど、追い出されるなんてあるのでしょうか?

母の不在

転入当初は、母が働き、明が妹弟の世話をしていましたが、恋人ができた母は家を空けがちになり、やがて恋人と同棲を始めて帰宅しなくなります。生活費は送られてくる現金書留と、茂とゆきの父親に無心したお小遣い程度。

たまに様子を見に帰ってきていた母が帰ってこなくなって数か月、仕送りが途絶えます。電気・ガス・水道も止められ、子供たちだけの生活は限界。コンビニ店員から児童相談所行きを勧められますが、4人が一緒に暮らせなくなるのが嫌な明は…。

公園で水を確保し、必死に生き延びていましたがいよいよ食料が底を突き、コンビニの賞味期限切れの弁当をもらい、万引きまでするように。そんな中出会った不登校の紗希から現金を渡されますが…。

子供には荷が重すぎる…。”長男だから頑張れた”んでしょうか?

明の家出

母が帰らなくなり、学校へも行けず、お金もなく、幼い妹弟の面倒をひとりで見ている明。4人で一緒に暮らせなくなるから児童相談所には行きたくないと思いながらも、まだ12歳の明に限界がきます。

弟妹は幼いがゆえに言うことを聞かず、鬱憤が爆発した明は衝動的に家を飛び出します。飛び出した先で少年野球チームの練習を見ていると助っ人を頼まれ、日常を忘れて楽しみます。

家に戻った明が目にしたのは、ぐったりしたゆきと、呆然と座り込んでいる京子と茂。病院に連れて行くお金も薬を買うお金もない明は、薬を万引き。しかし翌日ゆきは息絶え、明はゆきが好きだったアポロチョコを紗希に借金してたくさん買い、亡骸と一緒にスーツケースに入れ、飛行機がよく見える羽田空港近くの河川敷に埋めて弔います。

モチーフとなった事件

モチーフとなったのは、1988年に発覚した「巣鴨子供置き去り事件」。

長男が生まれた6年後に父が蒸発し、就学通知が来なかったかったために役所に出向いた母が、婚姻届も出生届も出されていなかったことを知ります。その後は4人の子供を自宅出産し、いずれも出生届は出さず…。

第五子となる三女が生まれた翌年、母が長男に子供を任せて恋人と同棲開始。親が不在の家は不良の溜まり場となり、通報を受けた巣鴨署員が長男、長女、次女の3人と、白骨化した乳児の遺体を発見。第三子は生後間もなく死亡していました。

テレビのニュースで知った母親が出頭し、9か月間家を空けていたことと、三女の行方不明が判明。泣き止まない2歳の三女に怒った長男の友人たちが、押し入れの上から何度も飛び降りるなどの暴行を加えて死亡させていました。遺体は雑木林に埋められていました。

母親は保護責任者遺棄致死の罪で有罪判決。三女の死に関わっていたとされる長男は、傷害致死・死体遺棄で裁判所に送致された後、状況を考慮されて養護施設へ。



残念なところ

当時14歳の柳楽優弥が、顔が整い過ぎてて、悲惨な状況だということを忘れてしまいます。しかしあどけなさの中にも迫力のある目力と演技力で、すぐに物語に引き戻されます。

子供らしさと、長男という重荷を背負った役を、子供とは思えない演技で魅了。本当に目が離せない2時間20分でした。あの目が、あの表情が、ずーっと焼き付いてしまいます。

登場人物(キャスト)

・福島明(柳楽優弥)・・・12歳長男。「明」という名前は柳楽が考えた。

・福島京子(北浦愛)・・・長女。明が生活費のやり繰りに悩んでいることを知り、ピアノを買うためにと貯めていたお小遣いを差し出す。

・福島茂(木村飛影)・・・次男。ちなみに冷やご飯をインスタントそばのつゆに入れて食べる場面は、木村のアイデア。

・福島ゆき(清水萌々子)・・・5歳次女。

・福島けい子(YOU)・・・母。恋人と同棲し、子供たちを置き去りに。

・水口紗希(韓英恵)・・・いじめによって不登校に。明と出会い、その後公園で弟妹たちとも会って仲良くなる。明たちを助けたい思いから、援助交際で得たお金を明に渡そうとする。



感想・評価・レビュー

初オーディション初主役、俳優としての最初の仕事でカンヌ?しかも史上最年少、日本人初の最優秀主演男優賞?ヤバスギィ!

14歳とは思えない目力と演技力。当時話題になりましたもんね。お顔も整ってるし、今も色んな作品で見かけますが、ゲスい役がハマってるんですよね。

産むだけ産んでネグレクトの母親、幼い下の子供たちの面倒を見る長子。今もこんな家庭があるのも事実です。そういった状況で育つ子供は、なかなか助けを求めることができない…。周りの大人が気付いて、一歩踏み込んで対処しないとなくならないでしょうね。違ったら違ったでいいじゃない。何かあってからじゃ遅い…。

女としても大事ですが、母親ということを忘れないでいただきたいですね。

タランティーノ監督も絶賛した14歳の柳楽優弥の俳優初作品『誰も知らない Nobody Knows』はオススメ度「★★★★★」

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最後までお付き合いいただきありがとうございました!

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