幼い志向が生んだ悲劇。問題作じゃないとは言わせない!
かなりの衝撃を受けたサイコホラー作品「ミスミソウ」。押切蓮介先生の漫画を実写化した映画なのですが、壮絶なイジメと復讐を描いた作品でした。
心優しい美少女が父親の仕事の都合で田舎の中学校に転校し、いじめの対象にされてしまう事から物語が始まっていきます。
ホラー作品と言っても恐怖対象(幽霊や化け物など)がいるわけでなく、普通の人間が創り出す恐怖が非常に恐ろしい・・・。
「精神破壊(メンチサイド)ホラー」と呼ばれるほど狂気的で猟奇的な内容なので、かなりグロいシーンもあります。苦手な方はご注意を!
それでは人間の異常性が色濃く表れた映画「ミスミソウ」の面白さと怖さを感想と共にレビューしていきますのでお付き合いください。
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かんたんなストーリー紹介!
主人公・野咲春香(山田杏奈)は心優しい性格の清楚な美少女。父親の仕事の都合で東京から田舎の大津馬村の中学校に転校してきた。
「よそ者」である理由からクラスメイト達から陰惨なイジメの対象になってしまう。卒業まで2か月。優しい両親や可愛い妹、同じように転校してきたクラスメイトの相場晄(清水尋也)の存在によって耐えることが出来ていた。
日に日に嫌がらせはエスカレートし、ある日、春香の家は燃え上がる炎に包まれた。両親は命を落とし、妹の祥子は一命をとりとめたものの全身に大火傷を負ってしまい非常に危険な状態。突然の悲劇に春香の心は崩壊してしまった。
そして事件の真相が露見する事を恐れたクラスメイトは春香に自殺を強要する。すべての真相を知った春香は、家族を奪ったクラスメイトに復讐を開始して行く・・・。
この作品の見どころ紹介!
凄惨・・・。しかし美しい。
イジメから始まった殺し合いの物語。その舞台は雪が高く降り積もる白銀の世界で行われていきます。
一面を覆いつくす白を染め上げていく赤は非常に美しく感じました。ここでいう赤とは「血」の事なんですが、こんな感性を持っている私は異常者と思われるかもしれませんね。
もちろんここで言う「美しさ」とは映像としての印象で、実際に目の当たりにしたら美しいと感じる間もなく卒倒してしまうでしょう。
主人公の春香も赤を基調とした服や傘を身につけていて、雪に覆われた世界を歩いている姿は目を惹きつけて離しません。
イジメのリーダー格である妙子が、全身白い服装に金髪の姿で雪道を歩き、全身が赤く染まっていくシーンは凄惨な場面なのに美しいと感じるほどです。
ストーリー上、過激な表現に目が行きがちですが、こういった美しい部分にも目を向けて観ていただきたい。
救いのないストーリー!
主人公の春香は大人しい普通の少女なのですが、故意的に起こされた事件で両親を失ってから復讐の道を選びます。
この時点で春香は被害者で、復讐したいと思う気持ちに共感する人も多いでしょう。
そして事件の詳細が明らかになって欲しくないという理由で、自殺を強要されたことで心が壊れてしまいました。
卒業までの2か月間いじめに耐え、両親に心配をかけたくないと思っていた心優しい少女には、自分の何が悪かったのかなんてわかるはずもなく、復讐を行っていきます。
クラスメイトが家に火をつけたのだって、ほんの些細な欲求から。「好きな人に認められたい」「憧れの人に見て欲しい」などの気持ちが、後に引けない状況を作りだしていきます。
悪ノリのようなものが悪い方向に絡み合い、行きついた先は人の命を奪うような事件。そして、春香へのイジメが始まった理由も妙子のほんの些細な欲求から・・・。
全てが悪い方向へ進んで行き、何一つ救われることのない物語です。ハッピーエンドは期待しないで・・・。
過激すぎるゴア表現・・・。
「ミスミソウ」では実写化映画で描くのは難しいほど、生々し過ぎる描写が多くあるので観る人を選ぶ作品です。
クラスメイトの眼に釘を刺したり、棒で執拗に殴るシーンでは多くの出血があるので苦手な方は気分が悪くなる可能性が高いでしょう。
他にも内臓の一部が露出したり、除雪車に巻き込まれてミンチになるシーンも・・・。
この作品の怖さは人間の狂気と猟奇的な行動で表現されているのですが、この過激すぎるゴア表現は日本のスプラッター映画と思ってしまうほど・・・。
気分の悪さや嫌悪感を抱いてしまう方もいらっしゃるので、観る方は自己責任でお願いいたします。
まとめ・評価
色んな感情が揺さぶられる問題作品だった「ミスミソウ」。R-15指定の通り、事の善悪がしっかりしていない未成年には観てほしくない作品だと思いました。
誰かに認められたい衝動で、引き際を知らずに実行してしまう。そんな無邪気で単純な理由から加速していく凶悪性は、観る人を選ぶ作品です。
登場人物の心の動きを汲み取らずに、正論をぶつけてしまう方は、かなり胸糞悪い映画になってしまう事をお約束します。
現実でも些細なきっかけから事件となり、凄惨な結末を迎えた事件は少なからずありました。そんな加害者たちは数年の刑期で社会復帰し、被害者の心には永遠の傷が残り続けています。
好意が受け入れられない事で憎しみに変わり、現実では泣き寝入りするしかない被害者が復讐の道を選ぶ。きれいごとだけでは語れない人間の醜い感情が込められた作品でした。
否定的なまとめ内容に感じられるかもしれませんが、個人としては高く評価している作品です。
この記事は作品をみて思ったことを正直に書いた内容なので、不快に感じてしまった方は申し訳ありません。この場を借りてお詫び申し上げます。
最後に個人的評価ですが、グロ要素とモラルの面で観る人を選ぶ作品ですが、誰もが持つ嫉妬や嫌悪感の行きつく先を見せてくれた醜くて美しい映像作品なので「オススメ度★★★★★」で締めたいと思います。
(より深い心理描写を知りたい方は原作を読んでみていただきたい。)
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